掘り出し物に出合うには、まず、土地の価格が、どんな風に決まっているのかを知ることが大切だ。
以下のポイントは、読者の皆さんがどうしてもエリアは譲れないといった場合に、それ以外の価格を左右するポイントを紹介したもの。良い土地を探したいならさまざまな条件を見比べた上で「それが本当に自分にとってメリットか?」という見方が掘り出し物を見極める近道となる。
日当たりの良い南側道路ほど価格は高くなる。東側と西側の価格差はあまりなく、北側が5%~10%割安に。でも、北側ならではのメリットもあるので、ぜひ後半ページでチェックしてほしい。
1つの道路に面した土地が一般的。2本の道路が交差する角地は開放感があり、日照もよいので人気が高い。角地だと建築基準法で建ぺい率が10%緩和のメリットがある場合が多く、価格は多少高め。
日当たりを気にする人は多く、日照のよし悪しは、隣り合う敷地の高低差によって判断される。とくに南側に隣接する土地が低い位置にあればそれだけ日当たりがよいので、価格は高くなる。
長方形や正方形の土地が一般的。それ以外は変形地ということに。形や広さによるが建物の設計に工夫が必要で建築費が高くなることもあるのでその分価格は安め。デッドスペースの用途を工夫すれば、変形地はお得となるケースが多い。
建物の正面の長さで、奥行きに対する幅。広ければよいというわけでもなく、南に面して奥行きがない土地では庭が取れなくならないように注意。接道幅5m~10mが望ましい。
住宅を建てる土地は幅4m以上が必要。エリアにもよるが幅員5m~6m程度の道路が理想。徐行すれば車が無理なくすれ違え、歩行者も危険を感じない幅だ。それ以上狭いと価格も安めになる。
高低差のないフラットな土地が好ましく、高ければ階段が必要になるので老後が不安。低ければ設計に工夫が必要になるが、その分価格は安めに。起伏の多いエリアでは気にしておきたいポイント。
坪数が大きいほど価格は当然高い。不動産会社ごとに基準に違いがあるが、延床面積を100m2前後確保できればゆとりの一戸建てが建てられる。事前に建ぺい率、容積率をチェックしよう。
公園や緑地帯に面した自然豊かな環境は人気なので高め。事前に用途地域を確認しよう。住居専用地域などは閑静な環境である可能性が高い。また、個別の建築協定(基準)や風致地区なども確認しよう。
L型や三角形、台形の土地など変形した土地のこと。
リスクはあるが、変化に富んだユニークな家がつくれる可能性も。コストダウンの程度は、制約の大小により10%~40%と幅がある。
●余ってしまいがちな鋭角部分をバスルームから眺める坪庭にしたり、収納スペースに使うなど設計の工夫次第でデッドスペースが活かせる
●固定資産税や相続税を決める際、その算定額は同じ面積の整形地よりも下がる傾向
●敷地の形状に合わせた特別な設計をしなければならないため、建築コストが増えることも考えておきたい
●複雑な建物形状になることもあるので、外壁や屋根などの施工面積が増え、価格に跳ね返ることもある
名の通り、旗のような形で不整形地に属する土地。
敷地延長、路地状敷地ともいう。前面道路との間に隣家があるケースが多い。価格は前面棟より割安だが方位・向きなどにもよって、さまざま。
●人の目に触れない庭が確保できる
●子どもがすぐに道路に飛び出す心配が少ない
●さお部分の土地を利用してカーポートをつくったり、花壇などで奥行きのあるアプローチを演出できる
●工事の際に大きな車が入れない場合、運搬費がかかる
●周囲に高い建物があると日当たりが悪くなる場合も
●隣家のトイレや浴室に向かい合う場合は、開口部をずらすなど設計への配慮が必要になる
電車の走る音や振動を嫌がる人が多い。
高速道路の近くも同じ位置づけとなる場合が多く評価は低い。さまざまな条件によるが、価格は近隣相場の10%~20%程度安め。
●電車が見えると、電車好きや子どもは喜ぶ
●一般的に電車は夜間は走らないため、夜は騒音も振動もなくなり静かに休める
●鉄道や線路に近いということはそれだけ交通網の発達した便利なエリアということ
●微細だが粉塵が飛び散ることも。外に干せないなら乾燥機が必要になる
●騒音が気になる場合は、窓や壁への強力な防音対策も計画しておきたい
●電車からの目線が気になるなら間取りにも工夫が必要
墓地の隣接は購入検討者の心理的なものに大きく影響する。
だが、周囲を塀で囲んだ墓地も多く、気にならない人には狙い目。価格は、15%~20%の割安傾向。
●将来的にマンションなどの高い建物が建つ可能性は低い
●高い塀に囲まれ、墓地であることが気にならない閑静な住環境のところもある
●「神社仏閣の周りは地盤が固い」という通説がある
●墓地は人の「死」を連想するため、家族や親などに合意をもらえるか事前に十分確認しておきたい
●盆や彼岸などには墓参のための見知らぬ人の行交いは増える
山や崖を宅地に造成したもので、起伏のあるエリアに多い。
一般的に30度以上の急傾斜地とそれ以下の緩斜面に分けられる。高低差の度合いによって、土地の価格は5%~40%程度お手ごろ。
●地形を活かした眺めのよい家や日当たりに恵まれた住まいが手に入りやすい
●傾斜を活かした変化に富んだプランが期待できる
●土地だけでみるとコスト面での割安インパクトは大きい
●宅地としての造成や基礎工事に費用がかさむことが多い
●できれば売買契約の前に間取りプランの見積もりを
●周囲にも起伏が多いエリアなら生活の利便性も十分確認しておきたい
上空に高圧電線が設置されている土地のこと。
電磁波が人体に与える影響を懸念する人もいるが立証されてはいない。ケースによってかなり割安になったり、考慮されないケースもある。
●割安な価格設定以外に地役権が設定され、電力会社から保守管理をするための年間使用料が支払われる場合も
●不動産取得税や固定資産税が減額されることもある
●多くは、美観などの理由で、周辺地価よりも価格は低め
●送電線の可動範囲から3m以内には建築できないなどの高さ制限や、部分的に建築不可の場所が出ることもある
●テレビやラジオなど放送電波に影響が出ることもあるので、ケーブルテレビなど他の手段が必要になる場合も
前面道路が北側にあり、北向きの家を建てることになる土地のこと。
日当たりの悪さが嫌われがちだが、設計次第で日照も確保できる。南向きの土地と比べると価格は5%~10%ダウンする。
●南側に庭の敷地を確保して家を建てれば、リビングや庭は人目にさらされにくい
●日照は吹抜けやトップライト設置などで確保できる
●北の眺望がよい場合、あえて北向きを選ぶ人も多い
●南隣家が近すぎると、庭などへの日照が確保しづらい
●光を入れる吹抜けなどをつくると費用が多少増えることもある
建築の契約をすることが条件となっている土地のこと。
プランは自由に設計することもできるが、何種かの規格から選ぶ、規格をアレンジする、などの進め方がある。
●あらかじめプランが用意されているケースもあり通常より比較的短い期間でプランニングでき、入居も早められる
●土地と建物を同じ会社に頼めるので、予算配分などの相談に乗ってもらえる
●契約後一定期間内にプランを完成させなければならない
●建築条件が交渉次第で外せた場合、土地価格は基本的に高くなることが多い
●納得のいくプランができない場合は、土地の売買契約を白紙に戻せる